急行電車に乗れない、高いビルのエレベータ―が怖い、閉じられた空間での会議がだめ、人の集まるところに行けないなどの症状は、精神医学では「広場恐怖」と呼ばれています。
こうした症状の多くは、閉じられた空間を恐れるので、イメージとしては閉所恐怖のほうがぴったりきますが、広場恐怖は専門用語では「アゴラフォビア」といって、ギリシャ神殿の広場に由来する言葉です。
広場恐怖を持つかたの多くは、そのような状況のなかで「パニック発作」と呼ばれる発作を過去に経験しています。
パニック発作では、動悸、発汗、ふるえ、めまい、胸痛、息苦しさ、死の恐怖、といった症状が突然起こります。
心臓の病気や脳卒中などと症状が似ているため、救急で病院を受診することも多いのですが、からだの検査では異常がなく、気のせい、自律神経失調、過呼吸などと言われ、それ以上の対応は、なされないことも多いようです。
こうした症状に思い当たるかたは、心療内科、精神科を受診するのがよいでしょう。
パニック症の症状には、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)と呼ばれる抗うつ薬などが有効ですが、その症状の背景には、心理的なストレスが関与していることがほとんどです。
したがって、くすりによる治療だけでは不十分で、カウンセリングも重要です。